食べていいもの、いけないもの

食品を除去するときには「正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去」を心がけましょう。”食べられる範囲”や、その後の体調変化は、ひとりひとり異なります。食べたことのない量を、自宅で少しずつ試したりせず、医師に必ず相談してください。

◆以下の絵をクリックすると、該当する食品の「食べていいもの・いけないもの」をすぐに確認できます。

   

小麦を除去するとき

小麦が属する麦類の、大麦・ライ麦などは、交差抗原性が知られています。これらの食品の除去については、医師に確認しましょう。

小麦アレルギーは、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの原因食物として、最も頻度が高いです。
日常生活や、食事と運動の状況を観察し、症状がある場合は必ず医師の指示に
従ってください。

食べられるもの 食べられないもの
米・米粉・とうもろこし粉(コーンスターチ)
雑穀類(ひえ、あわ、きび、たかきびなど)
小麦・大麦・ライ麦
米粉や雑穀で作った麺
春雨
コーンフレーク・砕いた米粉や春雨で代用した衣
うどん・マカロニ・スパゲティ・中華麺
麩(ふ)
餃子や春巻きの皮
お好み焼き・たこ焼き
小麦を衣にした天ぷら・とんかつ・揚げ物・フライ
米粉や片栗粉などのでんぷん・すりおろした芋などで代用したルウ
醤油・穀物酢(*)
麦芽糖・麦芽(一部を除く)
カレーやシチューのルウ
米粉パン(**) 小麦粉を用いたパン、洋菓子類

*醤油の原材料に利用される小麦は、醸造過程でアレルゲンが消失するので、基本的に醤油を除去する必要はありません。小麦完全除去の場合でも、調味料(醤油、味噌など)が摂取可能かどうか、医師に確認しましょう。
「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017」(厚生労働省)
**小売店で販売される「米粉パン」には、小麦のアレルゲンであるグルテンを使用している場合が多いため、必ず確認しましょう

★小麦を除去する場合の、代替食品について

小麦を用いた食品は主食として、エネルギー源としての役割が大きいです。
食パン6枚切り1枚(約60g)は、下の表の食品などで補うことができます。

食品 目安量
ごはん(炊いたもの) 茶碗1/2杯 100g
米粉めん(乾燥) 1/3束 40g

★表示などで気を付けること

①容器包装された加工食品の代替表記
「こむぎ、コムギ」などの書き方になっている場合があります。
(表示については、アレルギー表示についてのページを参考にしてください)

②麦茶について
材料は大麦ですが、アレルギーの原因となるたんぱく質の含有量がごく微量のため、除去が必要なことはまれです。

大豆を除去するとき

大豆以外の豆類について、除去が必要なことは非常にまれです。医師の指示に従ってください。

食べられるもの 食べられないもの
その他の豆類(小豆・グリーンピース・そら豆・ひよこ豆など) 大豆・枝豆・黒豆
豆腐とその加工品(油揚げ・厚揚げ・高野豆腐・湯葉など)
納豆
おから
きな粉
米味噌・麦味噌・醤油(*)・魚醤
大豆油(**)
味噌(豆味噌)
小豆あん・芋あん
アレルギー対応チョコレート(②参照)
きな粉入りの菓子
ずんだあん(枝豆使用のあん)
大豆レシチンを用いた菓子・パン・チョコレート(②参照)

*醤油や味噌は、醸造過程で大豆アレルゲンの大部分が分解されるため、摂取可能なことが多いです
**大豆油は精製されており、大豆のたんぱく質を含まないため、基本的に除去する必要はありません

★表示などで気を付けること
①大豆は特定原材料としての表示義務がありません。表示をしっかりと確認しましょう。
②加工食品の多くには、食品添加物である乳化剤の1つである「レシチン」が使用されています。大豆由来のレシチンが用いられていることが多いため注意しましょう。

卵を除去するとき

基本的に「鶏肉、魚卵」を除去する必要はありません。鶏卵のアレルギーの原因となるたんぱく質は、鶏肉や魚卵のたんぱく質とは異なるからです。

食べられるもの 卵が含まれるので食べられないもの 
鶏肉、魚卵 鶏卵・うずらの卵・その他の鶏の卵など
アレルギー対応マヨネーズ マヨネーズ・卵を含む調味料
魚卵 練り製品(かまぼこ、はんぺんなど)
肉類加工品(ハム、ウインナーなど)
小麦粉(片栗粉)の衣、
山芋・里芋・レンコンをつなぎにした惣菜類
鶏卵を衣にした天ぷらやフライ、
鶏卵をつなぎにしたハンバーグや肉団子などの惣菜類
鶏卵を使用しない麺類 鶏卵を用いたスパゲティ・ラーメンなど
鶏卵を使用しない洋菓子類・調理パン・菓子パン
ゼラチンや寒天で固めたプリン
調理パン、菓子パン

★鶏卵を除去する場合の、代替食品について
鶏卵に含まれるたんぱく質を他の食品に置き換えて、バランスのよい食事をめざしましょう。

鶏卵M玉1個(約50g)あたりのたんぱく質:6.1gは、下の表の食品などで補うことができます。

食品 目安量
肉(赤身) 薄切り2枚 30~40g
1/2切れ 30~40g
豆腐(絹ごし) 1/2丁 130g
牛乳 コップ一杯  180mL

★表示などで気を付けること

①容器包装された加工食品の代替表記
「たまご、鶏卵、タマゴ、エッグ、玉子」などの書き方になっている場合があります。
(表示については、「アレルギー表示について」のページを参考にしてください)

②微量コンタミでもアレルギー症状が出て、医師から指示されている方は
注意喚起(例:同じ製造ラインで鶏卵を使用していますなど)の表示がある場合は、メーカーの「お問い合わせ」窓口で確認しましょう。

ナッツ類を除去するとき

それぞれのナッツには別のアレルゲンが含まれているため、ナッツ類をまとめて除去する 必要は基本的にありません。またナッツ類を除去することで、栄養素の不足は起きにくいです。

★表示などで気を付けること

①クルミ・アーモンドは特定原材料としての表示義務がありません。

②ナッツ類は粉末状やペースト状で洋菓子の材料として使用されている場合が多く、見た目ではわからないことも多いので、メーカーに確認が必要な場合があります。

注意の必要な食品
クルミ
アーモンド
ペカンナッツ(=ピーカンナッツ)
カシューナッツ
ピスタチオ
パン・グラノーラ
洋菓子(チョコレート・クッキー・アイスクリーム)
和菓子
イタリア料理のソース・サラダのトッピング・ドレッシング
アーモンド アーモンドミルク(*)、アーモンドパウダー(プードル)、アーモンド炒めなどの中華料理、杏仁豆腐

*アーモンドミルク:飲料や料理に使用されていることが増えています。料理の見た目で分かりにくいので注意が必要です。

★ナッツ類アレルギーで確認が必要なこと

①ナッツオイル・シロップは食品だけでなく、スキンケア用品・シャンプーなどに使用されています。少量のナッツを摂取しただけでも全身症状が出たことがある場合は、注意が必要なので、医師に相談してください。                    

②クルミに対するアレルギー症状がある場合は、ペカンナッツ(=ピーカンナッツ)を食べて症状が出る可能性がかなり高いです。

③カシューナッツに対するアレルギー症状がある場合は、ピスタチオを食べて症状が出る可能性がかなり高いです。            

乳を除去するとき

食べられるもの 食べられないもの
豆乳、ココナッツミルク、アレルギー用ミルク 牛乳、牛乳以外のやぎ乳・めん羊乳など
乳酸菌
アレルギー対応なたねマーガリン
カカオバター
かき氷
ヨーグルト、チーズ、バター、生クリーム、全粉乳、脱脂粉乳、一部の調製粉乳、れん乳、乳酸菌飲料、はっ酵乳、アイスクリーム
・乳酸カルシウム・乳酸ナトリウム
・乳化剤(一部は除く)
・じゃがいものすりおろしなどを利用したルウ
・植物油や乳不使用マーガリン、小麦粉・米粉、豆乳で作ったルウ
・アレルギー用ルウ
カレーやシチューのルウ
アレルギー対応ハム・ウインナー 肉類加工品(ハム、ウインナーなど)
アレルギー対応チョコレート
豆乳から作られたホイップクリーム
乳を用いたパン、洋菓子類(ホイップクリーム、チョコレートなど)

★アレルギー用ミルク(特別用途食品・ミルクアレルゲン除去食品)について
加水分解乳とアミノ酸乳がありますが、アレルギーの症状にあったミルクを選ぶことが重要です。選択する場合には必ず医師の指示に従って使用してください。

★牛乳を除去する場合の、代替食品について
牛乳を除去すると、カルシウムが不足しやすくなります。
普通牛乳100mlあたりのカルシウム:110mgは、下の表の食品などで補うことができます。

牛乳コップ1/2 =「カルシウム110mg」=1日の推奨量の1/4~1/6

食品 目安量
普通牛乳 コップ1/2杯 100mL
アレルギー用ミルク コップ1杯 200mL
豆乳 コップ3 1/2杯 700mL
豆腐(木綿) 1/3丁 120g
しらす干し 2/3カップ 40g
桜えび(煮干し) 大さじ2杯 6g
干しひじき 大さじ3杯(小鉢2皿) 10g
切り干し大根 小鉢1皿 20g
マイワシ(丸干し) 1/4尾 25g
ごま 大さじ1杯 9g
小松菜(ゆで) 2株 70g

(*日本標準食品成分表2020参考)

★表示などで気を付けること

①容器包装された加工食品の代替表記
「ミルク、バター、バターオイル、チーズ、アイスクリーム」などの書き方になっている場合があります。
(表示については、「アレルギー表示について」のページを参考にしてください)

②誤解されやすい食品
「乳化剤(一部は除く)」「乳酸カルシウム」「カカオバター」「乳酸菌」などは、牛乳とは関係がないため、摂取することができます。

③「乳糖」について
除去が必要な場合はまれです。摂取の可否については、医師に確認しましょう。

タイトルとURLをコピーしました